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「森紅園と常盤町の子ども達」 <メッセージ>
公娼が全廃された昭和33年。青森の遊郭街である森紅園も時代の流れに逆らえず。
静かに消えて行った。
その森紅園と背中合わせに並んでいた常盤町の通りに稲荷神社が祀って在って、親父は
その社の神主で又、氏子の総代として常盤町と森紅園とのまとめ役をもしていた。
その精で子どもの頃は、神社の夏の大祭が近くなったり冬の師走に入る頃になると、
昼夜の別なく神社の使いをよくさせられていたもので、気恥しい思いをしながらも遊郭への
使いは駄賃をもらえて嬉しかった。横目でかい間見ながら妓楼の眩しい程の数々の光景は
今でも強く心に、印象深く残っている。
遊ばせる側と遊ぶ側との微妙な駆け引きを見ながら、冷かし半分の酔漢と妓楼の姐さん達の
黄色い声をあげて絡みつく様や、色恋いを賭けたと思わせる素振りに小さな嘘をつきながら
客の袖を引く賑やかな情景は、生活をそれに賭けた姐さん方の影法師とを一緒に包んで、
ゆらめく様に時の流れの中へ消えて行った。
それはもう百年もたった遠い昔の幻夢の様に思われ。今はもう時々、その情景を思い偲ぶばかり
になってしまった。
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